皆さん こんにちは エスパシオグループです。 2017年もいよいよ残すところ後1か月ですね。12月末は年末調整や確定申告締めとなりますので 色々な領収書を整理されていると思います。そこに聞きなれない「国外財産調書」の提出について、税務署からお手紙が来る頃です。さて「国外財産調書」とは何でしょうか? 「国外財産調書」とは? 国外財産調書とは、平成24年度税制改正において創設された、日本居住者の方で、その年の12月31日において、その価格の合計額が5000万円を超える国外財産を有する方は、その財産の種類、数量及びその価額その他必要な事項を記載した「国外財産調書」を、その翌年の3月15日までに、所轄の税務署に提出しなければならないこととされています。その対象は国外不動産、預金、現金、有価証券、美術骨とう品、貴金属、絵画、株式など多岐にわたります。5000万円を超えたかどうかは、12月31日時点の為替相場で日本円に換算した金額の合計となります。正当な理由なく提出期限内に提出しなかった場合は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されることがあります。 さて海外不動産の場合は、どのように申告価額を計算するかについて、ご説明いたします。 まず不動産の取得についての定義ですが、登記完了時の年度が取得とみなされますので、東南アジアなどに多いプレビルド販売の場合は、建物完成後登記完了時が国外財産としてみなされます。国外不動産財産の価額についての考え方ですが、固定資産税に相当する租税が課される場合には、課税された計算の基になる課税標準額を基に計算します。固定資産税が無い場合は、合理的説明が出来る価格を基に計算するとのことです。ここで言う合理的説明が出来る価格とは、一般的に購入価格を指すのではないかと思います。税務署も返答はまちまちで、後から確認できる数字が望ましいとのことです。なお提出にあたっては、具体的な価格を記載した資料の添付は、必要ないとの回答でした。 また土地と建物は別々に計算して提出する必要があります。それではベトナム不動産でコンドミニアムを購入した場合、どのように計算するでしょうか? ベトナムコンドミニアムは土地価格+建物価格=物件価格となっています。外国人は土地代を支払いますが登記は出来ません。そのため登記完了していないので、国外財産に当たらないと考えることもできますが、支払った土地代をそのまま申告するのが妥当だと思われます。建物につきましては固定資産税がありませんので、課税標準額がなく取得価格を申告することになります。また、建物価額は、取得価格からその年の12月31日までの期間の償却費の額を控除した金額となっています。償却方法は、定額法によるものとし、耐用年数は、日本の減価償却資産の耐用年数を用います。 日本のRC構造建物耐用年数は47年となります。 具体的にベトナムコンドミニアムを1500万円(税別)で購入した物件を申告する際の金額を計算してみましょう。ベトナム不動産は、物件価格の約2%(一般的数字)が土地代とすると1500万円×2%=30万円となります。 定額法の場合 建物47年の償却率→0.022 1年目 1470万円×0.022=32.34万円 期末簿価 1470 万円-32.34万円=1437.66万円 2年目 1470万円×0.022=32.34万円 期末簿価 1437.66万円-32.34万円=1405.32万円 3年目 1470万円×0.022=32.34万円 期末簿価 1405.32万円-32.34万円=1372.98万円 4年目 1470万円×0.022=32.34万円 期末簿価 1372.98万円-32.34万円=1340.64万円 5年目 1470万円×0.022=32.34万円 期末簿価 1340.64万円-32.34万円=1308.3万円 のように、定額法は取得価格に償却率をかけるので償却額が一定となります。 土地は償却がありませんので30万円で固定と考えると、申告額合計は期末簿価+土地価格となります。土地の固定資産税が無い場合は、取得価格を基にその取得後における価格の変動を、合理的な方法によって見積もって算出した価額を用いるとの記載があります。戸建て住宅を購入したときは、何らかの計算が必要になると思われます。 ベトナム不動産は取得価格が割安ですので、2~3戸購入しても申告の必要がなさそうですね。 不動産以外の国外財産価額計算方法につきましては、ご担当の税理士とご相談ください。 2017/12/04