ベトナム不動産投資の基礎知識【第3回】 不動産事業でも活きているベトナムでの「飲食ビジネス」の経験 今回は、不動産事業でも活きているベトナムでの「飲食ビジネス」の経験について見ていきます。※本連載は、株式会社エスパシオコンサルタント 代表取締役・有馬壽志氏の著書、『ベトナム不動産投資』(あっぷる出版社)の中から一部を抜粋し、ベトナムの不動産投資で成功するための ノウハウを紹介します。 抑えられなかった「ホーチミンで商売がしたい」との思い 前回の続きです。 それまでは、中高生くらいのころにテレビで見ていたベトナム戦争のイメージが強く、正直行ってみたいと考えたことはありませんでした。 そんな私が、初めてベトナムのハノイを訪れた時には、古い町並みが続くだけの鄙びた町だなあ、子どものころに私が住んでいた町に似ているなあ、 といった程度の印象でした。ところが、ホーチミン市のタンソンニャット国際空港に降り立った時の「なんだこれは!」という衝撃は本当に強烈でした。 そういう経験があって、ホーチミン市に一層入れ込んでしまったのかも知れません。我ながら、ここまで入れ込んだら筋金入りだと思います。 ホーチミン市に住むようになって足かけ4年になりますが、それは2010年に体験した衝撃からホーチミン市で何か商売がしたいとの強い思いを、抑えることができなかったからなのです。 2010年12月に、弊社主催新卒向けの会社説明会を開催しました。もちろんホーチミン市勤務限定です。10名の大学生が参加し、面接希望者が9名でした。 大阪から来た関西外国語大学の学生を内定しました。 内定者に何をやりたいのか尋ねると、ホーチミン市でカフェをやりたいとの強い希望でした。小売業を考えていた私は、彼の希望を叶えるべく、 ホーチミン市にカフェレストランを開業したのです。それからベトナム人女子大学生も採用し、2人で起業させることにしました。この2人は、 のちに結婚することになります。なんともハッピーなことです。 煩わしかったビザの問題も近年は緩和 オープンした24席のカフェレストランでは、頑張っても月の売上が約1億ドン(1円=200ドン、1USD=100円)で約50万円ほどです。 1階だけの家賃なら何とかしのげますが、ベトナムは3〜4階建一軒家の1棟貸が一般的なので、1区中心部にある日本人街だと、 最低月家賃が2000USDくらいします。表通りのレタントン通り、タイバンルン通りに面した建物だと、月4000〜6000USDもするため、 ある程度単価の高い居酒屋系でないと経営できません。 そこで目を付けたのが、ヘム(路地)にある住宅地でした。ここでは住居地域なので商業用に賃料が設定されていないため、比較的安く借りられます。 また、場所がいいので2階を事務所、3階を社員寮としてスタートしました。 日本人が多く住んでいるため、お客さんの95%が日本人でした。コーヒーよりも、安い定食を希望される方が多く、カフェはいつしか食堂となってしまいました。 日本人は朝早く仕事に出かけ、夜遅く帰宅するので、コーヒーを飲む時間がないのです。 残念ながらこのカフェレストランは、2014年12月で閉店しましたが、現在私たちがベトナムでおこなっている不動産業は、 その時の経験や情報がベースとなっています。 ベトナムには、さまざまな魅力がありますが、ビザについては面倒なことがありました。ロングステイビザ、永住ビザがなく、 短期滞在用のビザも最長3か月しかないのです。 それより長く滞在するには、労働許可証と在留ビザを申請して労働しなければなりませんでした。地球で僅かに残った社会主義国の一つですから、なかなか外国人には開放されませんでした。 しかし、ついに2015年7月に住宅法が改正され、1月には入国管理法も改正されて、労働許可の必要ない5年ビザも誕生しました。 数少ない社会主義国のうち、キューバが2015年にアメリカとの国交回復をはたし、不動産の解禁に向けて動き出しました。 ラオスは2017年に初のコンドミニアムが建設され、非居住外国人向け販売を開始しています。ベトナムが解禁することで、最後の扉が開かれたのです。 2017/05/10