ベトナムには固定資産税がないの? どこの国にも固定資産税がありますが、ベトナムには固定資産税はないのでしょうか?まずは固定資産税の定義から整理してみましょう。 ■固定資産税とは? 日本の固定資産税は、市町村などの地方自治体が賦課する税金で、土地や家屋を所有している人に納税の義務があります。 マンションやアパートを賃貸している場合は、固定資産税の対象になりません。家主が固定資産税を支払うことになります。 また、基本的に固定資産税の計算方法は、固定資産税の評価額に標準税率の1.4%をかけた金額になります。 1.固定資産税評価額 固定資産税評価額は、国土交通省が定める土地の公的価格や家屋の時価について、大体70%の割合で付けられた金額です。 さらに土地の価格は変動することもあるので、3年に1度、評価額は見直されることになります。 しかし、最終的に固定資産税評価額を決定するのは市町村長などです。地域によってばらつきがあります。 2.標準税率 基本的に、標準税率は1.4%と定められています。しかし、財政困難などの場合、地域によっては標準税率よりも少し引き上げられることもあります。 3.計算方法 土地:土地公示価格×面積×1.4% 建物:建物時価評価額×面積×1.4% ただし住宅の場合は200㎡未満の居住用住宅に限り、軽減税率があります。 また、東京都のような大都市ではインフラ整備にお金がかかるため「都市計画税」がプラスされます。 ■固定資産とは? 固定資産とは、土地、家屋、償却資産を総称したもので、次のものをいいます。 〔償却資産〕 構築物、機械、装置、工具、器具、備品、船舶、航空機などの事業用資産で、法人税又は所得税で減価償却の対象となる資産。 つまり日本の会社では、従業員の方々が座っている机・椅子、応接セット、パソコン、プリンター、コピー機、ソフトウエア、金庫など一定額以上の物にはすべて固定資産税がかかっています。 こちらは毎年各企業が支払っています。 ではベトナムの場合はどうでしょうか? 現在調べた範囲では、建物の時価について評価額が発表されておりません。政府も何度か導入を検討したようですが、特に南部ベトナムの建物を多く所有している北部ベトナム人が 反対しているため実現していないようです。導入すれば北部人が支払うことになるからです。 というとなんでだろう?と思った方もいらっしゃいますね。実はベトナム戦争で北ベトナムが勝利したため、南ベトナムの土地建物は北ベトナムが摂取する形になりました。 そのため南部の土地は北部ベトナム人の所有するものとなりました。そのため建物税を導入すると、税金を支払うのは北部人ということになります。当然戦勝国の権利と考えている 人たちからするとありえないですね。 土地についてはすべての土地をベトナム国家が所有するという考え方に基づき、各地の人民委員会が決めた価格(公示価格)が発表されています。 これに基づき「土地税」を支払います。 1.ベトナムの土地の所有形態 ベトナム政府:永久所有権 ベトナム人:長期所有権 外国企業・外国人:賃貸権約50年 2.土地税の計算式 人民委員会決定の公示価格×面積×0.03% (使用目的が政府の決めた目的である場合) 使用目的が政府の決めたものでない場合は、0.15%となります。 いずれにしても日本の1.4%と比べても破格に安いことがわかります。 また、土地の評価額も恐ろしく安いですね。 コンドミニアムの場合は、土地の賃貸権がありません。そのため土地代金は支払いますが「土地税」は発生しません。 建物も評価額がないため課税されません。将来は税収不足を補うために課税されるかもしれません。しかし、前述のようにベトナム戦争後の国家樹立の経緯もあり、 建物固定資産税を導入するのはかなり困難と思われます。 戸建て住宅の場合は、土地と建物が一体となっているため所有している間は「土地税」がかかります。 建物はかかりません。しかし上記の計算の通り恐ろしく安いと考えられます。 また、戸建て住宅購入後土地だけ、または建物だけの売却は出来ません。あくまで一体の不動産となります。 By Espacio 2017/05/31